2025年の休廃業・解散企業では、損益が判明した企業の52.8%が直前期黒字でした。業績が安定しているように見える取引先であっても、休廃業の可能性を完全には否定できません。
本記事では、公的統計から分かることと分からないことを整理したうえで、取引先の供給継続性を確認する観点、廃業の連絡を受けた直後に確認する項目、図面や治具の引継ぎで見落としやすい点、国内に代替先が見つからないときの海外調達までを解説します。技術承継問題そのものの構造は別記事に譲り、本稿は「廃業の前後に調達側が何をするか」に絞ります。

統計から見える、取引先の休廃業リスク
取引先の休廃業は、業績の悪化だけを見ていても予測できません。まず、公表されている統計が何を示しているのかを確認しておきます。
黒字でも休廃業は起きている
東京商工リサーチの調査によると、2025年の全国の休廃業・解散は6万7,210件(前年比7.2%増)で、過去最多を更新しました。
| 指標 | 2025年の値 | 集計の対象 |
|---|---|---|
| 休廃業・解散の件数 | 6万7,210件(前年比7.2%増) | 全国・全業種 |
| 直前期が黒字だった割合 | 52.8% | 損益が判明した企業 |
| 代表者が60代以上の割合 | 90.6% | 年齢が判明した企業 |
| 代表者が80代以上の割合 | 34.0% | 年齢が判明した企業 |
| 代表者の平均年齢 | 74.9歳 | 年齢が判明した企業 |
出典:東京商工リサーチ「2025年『休廃業・解散企業』動向調査」(2026年1月9日公表)
この調査は全業種を対象としたもので、休廃業の理由までは示されていません。ここから読み取れるのは、「業績が悪いから閉じる」とは限らない、という一点です。黒字であっても休廃業のリスクは否定できず、支払状況や納期実績だけでは取引先の継続性を判断できません。
製造業では47.3%が「自分の代で廃業するつもり」
経営者側の意向を示すデータもあります。日本政策金融公庫の調査では、製造業300社のうち47.3%が「自分の代で事業をやめるつもり」と回答しました(全業種4,465社では57.4%)。
廃業予定と回答した2,491社に理由を尋ねた設問(複数回答)では、次の項目が上位に並びます。
- そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていない:45.2%
- 事業に将来性がない:22.1%
- 子どもがいない:12.1%
- 子どもに継ぐ意思がない:10.9%
出典:日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」(2023年、全業種の集計値)
なお、帝国データバンクの調査では後継者不在率そのものは改善傾向にあり、全国で50.1%、製造業では42.4%まで低下しています。不在率が下がる一方で、代表者の高齢化を背景とした退出は続いています。取引の実績だけを見て「これからも大丈夫」と判断するのではなく、供給の継続性を定期的に確認しておく必要があるといえます。
供給継続性を確認する3つの観点
取引先の将来を外部から断定することはできません。ただし、供給が続くかどうかを確認するための着眼点はあります。
はじめにお断りしておくと、以下の観点は単独で廃業を示すものではありません。繁忙、原材料価格の上昇、通常の設備運用でも同じ現象は起こります。複数の観点が重なったときに、確認の優先度を上げる材料としてご活用ください。
| 観点 | 見られる変化 | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 見積と納期 | 見積回答の遅延、価格の上昇、小ロットや特急の辞退、新規図番への慎重な姿勢 | 過去の見積リードタイムと比較する。辞退された案件は理由を記録する |
| 設備と人員 | 主力設備が長期間更新されていない、作業者の平均年齢が上がっている、一部工程を外注へ切り替えている | 定期訪問時に設備の年式と工程体制を確認する |
| 経営体制 | 長期の設備投資計画や採用計画の話が出ない、将来の生産体制について明確な回答がない | 「5年後、10年後も継続してお願いできますか」と購買の実務として確認する |
このうち最も確実なのは、3つ目の直接確認です。後継者の有無は聞きにくい話題ですが、生産体制の継続性であれば、購買の通常業務として無理なく確認できます。
なお、承継が進まない工場に依存し続けた場合の品質・コスト・供給面のリスクについては、次の記事で詳しく解説しています。
>>技術承継問題とは?製造業の調達担当者が知っておきたい供給リスクと海外調達
廃業の連絡を受けたら、最初に確認する4項目
実際に廃業の連絡を受けた場合、代替先を探すより先に確認すべき情報があります。次の4点は、猶予期間を概算するための材料になります。
| 確認項目 | 具体的に押さえる内容 |
|---|---|
| 最終受注の締切日と最終出荷日 | いつまで発注でき、いつまで受け取れるのか |
| 在庫数と使用数 | 手元在庫、先方の仕掛・完成品在庫、自社の月間使用数 |
| 図面の所在と形式 | 紙図面か、PDFか、CADデータか。最新版がどこにあるか |
| 治具・金型・専用工具 | 所有区分(支給品か先方所有か)と、引き取りの可否 |
在庫と月間使用数が分かれば、何か月分の猶予があるかを概算できます。そのうえで、最終ロットの追加発注で時間を確保するのか、すぐに代替先の選定に入るのかを判断します。
図面・治具・在庫の引継ぎで見落としやすい点
引継ぎでつまずきやすいのは、モノよりも情報です。
- 図面に書かれていない加工条件:治具の使い方、工具の選定、加工順序などが職人の経験に依存している場合、図面だけでは同じ結果になりません。可能であれば、廃業前に加工方法を聞き取り、記録に残しておくことをおすすめします。
- 図面の版と所有区分:支給図か先方作成図かによって、他社へ渡せるかどうかが変わります。契約内容を確認してください。
- 治具・金型の保管:引き取る場合、保管場所と輸送手段を先に決めておかないと、廃棄されてしまう場合があります。
- 検査記録の様式:材料証明書や検査成績書の様式が先方独自のものだと、代替先で同じ書類が出せず、社内の受け入れ検査で滞ることがあります。
代替先の切り替えに時間がかかるのはなぜか
新しい調達先で同じ部品を安定して受け取るまでには、次の工程を順に踏む必要があります。
- 候補先の探索と選定:加工方法、材質、公差、ロットに対応できる工場を探す
- 図面の確認と見積:現行図面のまま製作可能か、追加情報が必要かを確認する
- 試作と初品検査:寸法・外観・材質証明を確認し、必要に応じて図面を補足する
- 量産承認と初回納品:社内の受け入れ基準を満たすことを確認する
- 安定供給の確認:2回目、3回目のロットでばらつきが出ないかを見る
工程ごとに社内の設計・品質保証部門の確認が入るため、部品の難易度によっては数か月を要します。だからこそ、動き出す起点を「廃業の連絡」ではなく、「1社にしか発注していない部品がある」と把握した時点に置くことが有効です。
国内で代替先が見つからないとき、海外調達は選択肢になるか
同種の加工を担う国内の工場も高齢化が進んでおり、受注余力のある工場ほど新規の小ロット案件を受けにくい状況があります。国内に受け皿が見つからない場合、海外調達は現実的な選択肢のひとつです。ただし位置づけは、単価を下げる手段ではなく、供給元を二重化してリスクを分散する手段になります。
品質・納期・実務への不安にどう応えるか
海外調達に踏み切れない理由は、多くの場合「品質」「コミュニケーション」「契約や支払いの実務」の3点に集約されます。当社では、次のように対応しています。
品質:提携先のベトナム協力工場では、日本の品質マネジメント手法を取り入れたプロセス管理を行っています。当社は現地視察、試作、納品前の検品、トレーサビリティの確保まで実施し、量産前に品質基準をすり合わせます。公式サイトで公開している実績値は、検品合格率99.30%、提携工場の監査通過率100%、納品後の品質トラブル発生率0.2%以下です(2026年9月8日時点の公式サイト公表値)。詳細は生産・品質保証体制をご覧ください。
コミュニケーション:日本語が堪能で、日本企業の要求を理解している経営者の企業を中心に選定しています。窓口を日本語で統一することで、仕様の解釈違いによる手戻りの抑制につながります。
実務:現地通貨での支払いや為替リスクの管理は、単独で海外調達に踏み切る際の障壁になりやすい部分です。当社は専門技術商社として、ドルやドンでの支払い対応や為替リスクの管理まで担うため、お客様は国内取引に近い形でご発注いただけます。
紙図面しか残っていない場合でも、海外調達はできるのか
対応可能です。廃業する工場から引き継ぐ部品は、紙図面や古いPDFしか残っていないことが少なくありません。この状態では、海外はもちろん国内の新規サプライヤーに対しても、見積の精度が下がる場合があります。
当社では、こうした部品のために図面データ化代行サービスをご用意しています。紙図面やPDFから寸法・記号を読み取り、2D・3DのCADデータへ変換します。ベトナムのCAD専門企業と連携しつつ、日本国内のCADオペレーターが最終チェックを行うため、図面の不備や解釈違いによる手戻りの抑制につながります。さらに時差を活かした夜間対応により、最短で翌営業日の納品にも対応可能です。データ化したあと、そのままベトナムでの製造発注まで一貫してご支援できるため、「図面がないから動けない」という状態を解消できます。
よくあるご質問
Q.取引先から廃業を通知されました。まず何を確認すべきですか?
A.最終受注の締切日、在庫数と月間使用数、図面の所在と形式、治具・金型の所有区分です。猶予期間を概算する材料になります。
Q.紙図面しか残っていない部品でも海外調達できますか?
A.可能です。図面データ化代行サービスで2D・3DのCADデータへ変換し、そのまま製造発注まで対応いたします。
Q.少量や単品でも依頼できますか?
A.ご相談ください。ロットや加工内容に応じて、対応可能な協力工場を選定しご提案いたします。
そのほかご質問ございましたらお気軽に下記よりお問い合わせください!

「国内品質×海外調達」を実現!海外協力工場の実力を、映像でご確認ください!
実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介
続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。
空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。
そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。
クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。
この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。
A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。
この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。
この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。
水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。
今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。
お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。
超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。
この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。
この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。
お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。
組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。
今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。
この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。
丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。
このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。
この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。
丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。
このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。
しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。
海外部品調達代行はいわいにお任せください!
長年頼りにしてきた国内サプライヤーの突然の廃業リスクは、もはや従来の対策だけでは防ぎきれません。今こそ、事業を止めないためのBCP戦略としての「海外調達」が注目されています。
いわいは、独自の「日本品質」基準でのサプライヤー選定をはじめ、部品加工から組立・梱包までのワンストップ対応、Zoom検品による確実な品質保証により、初めての海外調達でも安心の体制を構築します。貴社の生産ラインを廃業リスクから守り、「途切れない供給」と「調達担当者様の安心」を実現する海外部品調達代行は、いわいにお任せください。


