ベトナムで部品加工を外注する際は、加工単価だけでなく、材料の規格・調達経路・輸送費・通関・在庫まで含めて判断する必要があります。JETROによると、ベトナムで事業を行う日系企業の現地調達率は38.1%で、原材料の現地調達先が見つからないことや、品質・技術水準が十分でないことが主要な課題に挙げられています(出典1)。本記事では、材料調達で起きやすい問題と、見積もり前に確認すべき実務ポイントを解説します。

ベトナム部品加工では、材料調達を最初に設計する
ベトナムの現地調達率はまだ発展途上
JETROの2025年度調査では、ベトナムの日系企業における現地調達率は38.1%でした。現地企業からの調達割合は18.3%にとどまり、調達先の課題として「原材料・部品の現地調達先がない」「現地企業の品質・技術力が不十分」などが挙げられています(出典1)。材料の種類や要求規格によっては、ベトナム国内だけで調達を完結できない前提で計画する必要があります。
日本支給・ベトナム現地・第三国調達を比較する
材料の調達方法は、主に次の3通りです。見積もり時には加工費だけを比べず、輸送、通関、検査、在庫、再調達まで含めた総着地コストで比較します。
- 日本から支給:指定材を確保しやすい一方、輸送・通関・梱包・在庫管理の費用と日数が増えます。
- ベトナムで現地調達:物流を短縮しやすい一方、規格、ロット、在庫、証明書の確認が必要です。
- 中国など第三国から調達:選択肢を広げられる一方、国際輸送と通関を含む工程管理が必要です。
見積もり前に確認したい材料条件
同じ材料名でも、適用規格やメーカー、熱処理状態、表面状態によって加工性や完成品の品質が変わります。図面と見積依頼書では、次の条件を明確にします。
- JIS・ASTM・DINなどの適用規格と、代替材の可否
- メーカー指定、原産国指定、必要な材質証明書
- 材料寸法、表面状態、熱処理・硬度条件
- 初回品の成分・硬度・寸法確認と承認方法
- 量産時のロット追跡と材料変更時の連絡ルール
材料調達でコストと納期が崩れるポイント
日本からの材料支給は物流費まで含めて判断する
日本から材料を支給する場合は、海上・航空輸送費だけでなく、梱包、通関、国内配送、保管、余剰材の扱いまで費用に含めます。急ぎの追加発注で航空便に切り替えると、当初の原価計画が崩れることがあります。定期便への混載や発注ロットの集約が可能かも事前に確認します。
現地調達では規格適合とトレーサビリティを確認する
ベトナムで調達できる材料でも、日本で一般的なJIS材と完全に同一とは限りません。代替材を使う場合は、規格対照だけで判断せず、化学成分、機械的性質、熱処理条件、ミルシートと現物の紐付けを確認します。JETROが紹介する現地企業の事例でも、顧客指定の鋼材・ステンレス材を日本から輸入するケースがあり、材料と設備の現地調達には難しさが残るとされています(出典3)。
材料の入荷遅延を加工工程へ波及させない
在庫のない材料や特殊材は、取り寄せと通関に時間がかかります。材料の入荷日を加工開始日として扱うのではなく、発注、輸送、通関、受入検査、初回品承認までを一つの工程として管理します。代替材の事前承認、安全在庫、発注点の設定も有効です。
材料・物流・品質管理を詳しく確認する関連記事
動画で見る、ベトナム調達の現場
高精度検査治具と加工技術
ロストワックスの製造工程
金属・樹脂の海外加工パートナー

ベトナム海外調達のススメ
加工費ではなく総着地コストで比較する
海外調達の効果を正しく判断するには、材料費、加工費、検査費、輸送費、関税・諸税、在庫費用、不具合対応費を含めて国内調達と比較します。試作段階では初回品の承認条件を決め、量産へ移る前に材料と工程の再現性を確認します。
材料変更を管理できる仕組みをつくる
量産開始後に材料メーカーや調達経路が変わると、加工条件や品質へ影響する可能性があります。材料変更は事前承認制とし、ミルシート、受入検査記録、加工ロット、出荷検査記録を紐付けます。不具合時に対象ロットを追跡できることが重要です。
海外部品調達が進む背景とは?
調達先の分散と供給継続が重視されている
国内の供給制約や国際物流の変動に備え、調達先を一国・一社へ集中させない動きが広がっています。JETROは、製造拠点の生産移管において現地調達率が重要であり、その水準は裾野産業の成熟度に左右されるとしています(出典2)。そのため、ベトナム調達では加工先の選定だけでなく、材料ルートを含む供給網全体の設計が必要です。
いわいだからこそ可能な海外部品調達
図面と要求品質から材料条件を整理する
株式会社いわいでは、図面に記載された材質名だけで見積もるのではなく、適用規格、必要証明書、代替材の可否、検査方法を確認します。現地調達、日本支給、第三国調達の候補を比較し、品質・納期・費用のバランスを踏まえて調達方法を検討します。
試作・受入検査・記録を一つの流れで管理する
初回品では、材料証明書と現物を照合し、必要に応じて硬度・成分・寸法を確認します。量産後も材料ロットと加工・検査記録を追跡できる状態を整え、変更や不適合が発生した際に原因範囲を特定できるようにします。
日本側の窓口として調達実務を支援する
海外工場との仕様確認、進捗管理、検査内容のすり合わせを日本語で支援します。材料調達を含めた総着地コストとリードタイムを確認したい場合は、図面と年間数量、希望納期をご共有ください。
実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介
続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。
空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。
そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。
クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。
この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクを抑えるにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。
A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。
この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。
この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。
水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。
今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。
お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。
超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。
この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。
この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。
お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。
組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。
今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。
この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。
丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。
このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。
この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。
丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。
このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。
しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。
ベトナムからの部品調達代行はいわいにお任せください
ベトナムからの部品調達では、加工先だけでなく、材料規格、調達経路、輸送、検査、変更管理を一体で設計することが重要です。株式会社いわいは、図面確認から材料・加工先の選定、初回品確認、量産時の品質・納期管理まで支援します。ベトナムでの部品加工外注をご検討の際は、お気軽にご相談ください。
出典
- JETRO「現地調達率は4割弱、原材料・部品の調達難が課題(ベトナム)」
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2026/21fcf2689cf256b0.html - JETRO「ベトナム裾野産業実態調査(2025年3月)」
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2025/02/b2a5d886bc8e411e.html - JETRO「ベトナムでポンプ部品のサプライチェーンを構築」
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2025/1001/5df47c8d0d8a165c.html