精度も安心も、国内品質以上に。
技術継承・品質保証が整った「海外調達」という新しい選択肢を。

部品加工海外調達コラム

COLUMN

製造業の未来を支える部品加工の海外部品調達代行とは?

製造業の現場では、人手不足による生産能力の低下、協力工場の廃業など、従来の調達体制では解決困難な状況が課題となっています。本コラムを読んでくださっている皆様も、こういった問題に直面した経験があるのではないでしょうか。
こうした状況において、製造業の持続的成長を支える新たな選択肢として注目されているのが「部品加工の海外調達代行」です。以前、海外調達におけるリスク管理やその対策について解説しました。今回は、なぜ今、海外調達代行が製造業の未来を左右する重要な戦略となっているのか、そのメリットから実践的なポイントなどをお伝えします。

国内製造業が直面する課題とは?

深刻化する人手不足と生産体制の脆弱化

機械・装置メーカーの購買担当者が現在抱える最大の課題の一つが、国内製造体制の構造的な問題です。自社での部品製造が人手不足により継続困難となり、外注依存が高まる一方で、その外注先である町工場もまた後継者不足や設備の老朽化により廃業リスクに直面しています。

特に深刻なのは、「現在は調達に困っていない」と感じている企業ほど、リスクが高い状況に置かれているということです。廃業により工場数が減少すると、残存する工場に仕事が集中し、納期遅延が常態化する悪循環が生まれる可能性があります。この構造的問題に対して、事前の対策を講じることができるかどうかが、企業の競争力を決定づける重要な分岐点となっています。

サプライチェーンの単一化リスク

特定の地域や限られた数の協力工場に依存している場合、自然災害や疫病の発生、労働争議などが起きた際に、サプライチェーン全体が機能停止に陥るリスクが存在します。また、国内の製造リソースが限られる中で、技術レベルや生産能力に応じた最適な製造パートナーを選択する余地も狭まってきています。このような状況では、品質・コスト・納期のバランスを保ちながら安定した部品調達を実現することが困難になっています。

商社が行う部品加工の海外調達代行の定義

海外調達代行とは

部品加工の海外調達代行とは、国内企業に代わって海外の製造パートナーから部品を調達し、品質管理から物流まで一貫してサポートするサービスです。単なる仲介業務ではなく、設計支援、図面データ化、製造工程管理、品質検査、輸送手配まで、調達プロセス全体をワンストップで提供します。

商社が提供する海外調達代行サービスの特徴は、言語や商慣習の違いによる障壁を解消し、国内調達と同等の利便性とリスク管理を実現することにあります。購買担当者は、海外取引の複雑さを意識することなく、国内調達と同様の感覚で海外の製造リソースを活用できます。

>>海外調達におけるサプライチェーンリスク管理やその対策

従来の直接取引との違い

企業が直接海外メーカーと取引する場合と比較して、商社による代行サービスは以下の点で大きく異なります。まず、言語や文化の違いによるコミュニケーションリスクを商社が吸収し、技術仕様の正確な伝達を保証します。また、品質基準や納期管理についても、日本の商慣習に合わせた対応を行います。

さらに、複数の海外製造パートナーとのネットワークを活用することで、個別企業では実現困難な価格交渉力や品質管理体制を提供できます。万が一のトラブル発生時にも、商社が責任を持って対応し、迅速な問題解決を図ります。

部品加工を海外に出すメリットを解説

コスト競争力の向上

海外調達のメリットのひとつは、製造コストの削減です。人件費や設備費の違いにより、国内調達と比較して20-40%のコスト削減を実現できるケースが多く見られます。ただし、重要なのは単純な価格比較ではなく、品質・納期・供給安定性を含めたトータルコストパフォーマンスです。為替変動による影響もありますが、長期的な視点で見れば、国内の製造コスト上昇傾向と比較して、海外調達のコストメリットは持続的な競争優位性をもたらします。

サプライチェーンの多様化とBCP対策

海外調達を活用することで、地理的に分散したサプライチェーンを構築でき、災害やパンデミックなどの不測の事態に対するリスク分散効果が期待できます。国内の特定地域に集中していた調達先を海外にも展開することで、事業継続性を大幅に向上させることができます。さらに、技術レベルや生産能力に応じて最適な製造パートナーを選択できるため、品質向上や新たな技術の取り込みも可能になります。

生産能力の確保と納期安定化

国内の製造キャパシティが限界に近づく中、海外の製造リソースを活用することで、必要な生産能力を確保できます。これにより、国内工場の仕事集中による納期遅延問題を根本的に解決し、安定した供給体制を構築できます。また、時差を活用した24時間体制の生産や、季節変動に応じた柔軟な生産調整なども可能になり、より効率的な製造体制を実現できます。

いわいが行う部品加工の海外調達のポイント

マーケットインによる工場開拓

株式会社いわいでは、顧客の具体的な課題解決を起点とした工場開拓を行っています。価格や立地条件だけではなく、品質管理に対する姿勢や技術力、そして日本の高品質要求に応える意欲を重視してパートナーを選定しています。同じ方向性を持つ企業同士の取引により、長期的で安定したパートナーシップを築いています。

徹底した品質管理体制

海外調達における最大の懸念である品質管理について、当社では複数の対策を講じています。まず、海外工場との秘密保持契約締結率100%を実現し、技術情報の漏洩リスクを完全に排除しています。また、Zoomなどのデジタルツールを活用したリアルタイム検品により、発注者が日本にいながら直接品質を確認できる「見える化」システムを構築しています。検品合格率99%以上、品質トラブル発生率0.2%以下という実績が、この品質管理体制の有効性を証明しています。

ワンストップサービスによる利便性向上

設計支援から図面データ化、部品製造、品質検査、輸送手配まで、調達プロセス全体をワンストップで提供することで、購買担当者の手間とコストを大幅に削減しています。複数業者との個別対応が不要になり、窓口の一本化により効率的な調達プロセスを実現できます。特に、言語や商慣習の違いによる障壁を当社が完全に吸収することで、国内調達と同等の利便性を提供しています。技術仕様の正確な伝達から契約交渉、納期管理まで、一貫したサポート体制を確立しています。

実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介

続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。

空圧機器用六角プラグ

空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。

そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。

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クランプブロック

クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。

この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。

A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。

この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。

この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。

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水処理機械用 カップリング

水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。

今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。

お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。

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超々ジュラルミン製 分配ブロック

超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。

この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。

この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。

お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。

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組立冶具(エア便 特急対応)

組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。

今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。

この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。

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丸頭特殊ボルト

丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。

このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。

この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。

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丸頭特殊ボルトアッセンブリ

丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。

このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。

しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。

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部品加工の海外調達で、製造業の未来を切り拓く

現在、部品調達に大きな問題を抱えていない企業であっても、将来のリスクを見据えた予防的な調達戦略として海外調達を検討することが重要です。問題が顕在化してから対策を講じるのではなく、事前に選択肢を広げておくことで、市場環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築できます。海外調達は、国内調達を完全に置き換えるものではなく、リスク分散と競争力向上のための重要な選択肢となります。国内外の製造リソースを最適に組み合わせることで、より強靭で効率的なサプライチェーンを実現できます。

製造業の未来は、従来の枠組みを超えた新しいアプローチによって形作られます。部品加工の海外部品調達代行は、この新しい未来を実現するための重要な手段の一つです。国内品質と海外調達の最適な組み合わせにより、競争力と持続可能性を両立した製造業の新しい姿を創造していくことが可能です。

現在の外注先の廃業リスクや人手不足による製造継続の困難さにお悩みの購買調達担当者の皆様には、海外部品調達代行という選択肢を真剣に検討していただくことをお勧めします。株式会社いわいは、豊富な経験と実績に基づく専門的なサポートにより、皆様の調達戦略の変革と未来の成功を支援いたします。

部品加工の海外調達に関するご相談やお問い合わせは、ぜひ株式会社いわいまでお気軽にご連絡ください。製造業の未来を共に切り拓くパートナーとして、最適なご提案いたします!

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