精度も安心も、国内品質以上に。
技術継承・品質保証が整った「海外調達」という新しい選択肢を。

部品加工海外調達コラム

COLUMN

海外調達におけるサプライチェーンのリスク管理とその対策

製造業の購買調達担当者が直面する課題は、従来の国内調達だけでは解決困難な状況になりつつあります。自社での部品製造における人手不足、残存工場への仕事集中による納期遅延など、構造的な問題が顕在化しています。こうした状況において、海外調達を含めたサプライチェーンのリスク管理は、単なる選択肢ではなく、事業継続のための必須の戦略となっています。一方で、海外調達はコストやサプライチェーンの多様化といったメリットをもちながらも、地政学リスク、自然災害、品質問題など様々な課題を伴います。本コラムでは、海外調達におけるサプライチェーンの課題と商社として株式会社いわいが取り組むリスク管理の手法、対策を解説いたします。

①なぜ今、海外調達におけるサプライチェーンのリスク管理が重要なのか

国内の部品製造業は、人手不足や廃業の増加により供給体制が脆弱化しています。この構造的なリスクを回避し、将来の安定供給を確保するために、海外調達によるサプライチェーンの多様化が不可欠です。

国内製造業が直面する課題

機械製造メーカーの購買担当者が抱える深刻な問題のひとつは、国内の部品製造体制の脆弱化です。設備投資や人件費を抑えたり、自社のコア業務である設計・組立に注力するために、外注に依存する企業が増加している一方で、その外注先もまた廃業のリスクに直面することもあります。

また、「今は部品調達に困っていない」という現状認識は、実は最もリスクの高い状態かもしれません。廃業が増加すると、残る工場に仕事が集中し、納期遅延が常態化するという悪循環が生まれます。この構造的な問題に対して、事前に手を打つことができるかどうかが、企業の競争力を左右する重要な分岐点となっています。まさに、今こそがそのタイミングです!

サプライチェーン多様化の必要性

従来の国内調達で完結する体制では、上記のような構造的リスクに対応することができません。シンプルに国内での仕入れ先を増やすという発想から一歩進んで、地理的・技術的に多様化されたサプライチェーンを構築することが求められています。

海外調達は、このサプライチェーンの多様化を実現する重要な選択肢です。国内の製造リソースが限られる中で、海外の優良な製造パートナーとの連携により、安定した部品供給体制を確保することが可能になります。

問題提起から解決支援への転換

株式会社いわいは、国内の町工場の将来に対する不安を抱えている企業の購買担当者に対して、単なる海外調達の提案ではなく、「将来を見据えた問題提起と解決のお手伝い」という姿勢でサービスを提供しています。現在は問題を感じていない企業に対しても、将来起こりうるリスクを共有し、事前の対策を支援するアプローチを取っています。

②海外調達で直面する主なサプライチェーンリスク

サプライチェーン多様化の鍵となる海外調達ですが、国内取引の常識が通用しない、特有のリスクが数多く存在します。国際情勢の変化といった外部環境のリスクから、品質、コミュニケーション、情報管理といった取引実務上の課題まで、事前に把握し対策を講じるべき点は多岐にわたります。

地政学的リスク

残念ながら海外調達が全てを解決してくれる魔法というわけではありません。海外調達において避けて通れないのが、国際情勢の変化による影響です。貿易規制の変更、関税政策の変動、外交関係の変化などが、調達コストや供給の安定性に直接的な影響を与える可能性があります。

自然災害・パンデミックリスク

製造拠点が海外にある場合、現地での自然災害や疫病の発生により、生産活動が停止するリスクもあります。また、国境を跨ぐ物流においては、様々な要因による輸送の遅延や停止のリスクも考慮する必要があります。

品質管理リスク

海外調達における最大の懸念事項の一つが品質管理です。言語や文化の違い、技術仕様の理解度の差、品質に対する考え方の相違などにより、期待する品質の部品が納品されないリスクが存在します。それぞれの国が「当たり前」とするクオリティやルールがある中、日本で求めるそれはレベルも高いからこそ期待に応えられないケースも現実的に存在します。

コミュニケーション・契約リスク

言語の壁や商慣習の違いによる誤解や認識の相違は、品質問題や納期遅延の原因となります。また、契約条件の解釈の違いや、緊急時の対応方針の不一致なども、重要なリスク要因として挙げられます。日本のみでやりとりしていた際には想像もしなかったような「当たり前」の違い、歩み寄りに時間がかかってしまうケースも生じてしまいます。

技術流出・機密保持リスク

設計図面や技術情報を海外のサプライヤーと共有する際の、情報漏洩や技術流出のリスクも慎重に管理する必要があります。

③株式会社いわいが取り組むリスク管理の手法と対策

株式会社いわいでは、マーケットインの発想で顧客の課題解決に寄り添いながら、必要な工場の開拓を行っています。単に価格や立地条件だけで判断するのではなく、ものづくりに対する考え方や品質管理などの姿勢がしっかりしている取引企業を厳選しています。同じ方向を向いている、温度感も合う企業同士で取引をすることに意義を感じております。

ここから先は、株式会社いわいだからこその強みをいくつか紹介いたします。

海外工場とのNDA締結率100%

まず、当社のスタンスで工場開拓を行っているため、提携先企業は品質管理に対する意識が高く、日本のハイクオリティな品質要求も理解し、それに応えることができる体制を整えています。また、海外工場との秘密保持契約の締結率も100%を達成し、技術情報の漏洩リスクを徹底的に排除しています。これにより、安心して設計情報や技術仕様を共有できる環境を構築しています。

品質管理の「見える化」と保証体制 

Zoomなどを活用したリアルタイム検品により、発注者が日本にいながら直接品質を確認できる体制を構築しています。製造工程から最終検品まで、海外での製造プロセスを可視化し、品質問題の早期発見と対処を可能にしています。

また、検品合格率99%以上を維持し、品質トラブル発生率を0.2%以下に抑制しています。これらの実績は、徹底した品質管理体制と継続的な改善活動の成果です。

契約、検品、梱包の各段階で品質保証も行い、納品後のトラブルを未然に防ぐ仕組みを確立しています。特に梱包工程では、輸送時の品質リスクを最小限に抑えるための細心の注意を払っています。

実務面の障壁を解消するワンストップサポート

設計支援から図面データ化、部品製造まで、ワンストップで対応することで、購買担当者の手間とコストを大幅に削減しています。複数の業者とやり取りする必要がなく、窓口を一本化することで、効率的な調達プロセスを実現しています。

そして、海外調達において障壁となりがちな言語や商慣習の違いを、当社が仲介することでスムーズにストレスフリーで行えるよう徹底しております。技術仕様の正確な伝達から契約交渉、納期管理まで、一貫してサポートしています。

図面データの作成・変換から製造現場への共有まで、デジタル技術を活用した一気通貫のプロセスにより、短納期・高精度な部品調達を可能にしています。

④株式会社いわいが提供する海外部品調達がもたらすメリット

リスクを適切に管理した海外調達は、単なる守りの一手ではなく、企業の競争力を高める「攻め」の戦略となり得ます。国内の構造的な課題を解決し、リスク分散はもちろん、コスト、品質、納期といった事業の根幹に関わる具体的なメリットをご紹介します。

仕入れ先の多様化によるリスク分散

国内の外注先廃業リスクや納期遅延問題に対して、海外調達という選択肢を加えることで、仕入れ先を多様化し、リスクを分散することができます。一つの地域や工場に依存することなく、安定した部品供給体制を構築できます。

人手不足問題の解決

自社での部品製造が人手不足により継続困難な状況において、海外の製造リソースを活用することで、この問題を根本的に解決することができます。国内で確保困難な製造能力を、海外の優良パートナーとの連携により補完できます。

コストと品質の両立

海外調達により、国内調達と比較してコスト面でのメリットを得ながら、同時に国内と同等以上の品質を確保することが可能です。当社が重視するのは単なる「安さ」ではなく、品質・納期・供給体制のバランスを考慮したトータルでのコストパフォーマンスです。

納期の安定化

国内の残存工場への仕事集中による納期遅延問題を、海外調達の活用により解決できます。複数の製造拠点を持つことで、一つの拠点で問題が発生しても、他の拠点でカバーできる体制を構築できます。

実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介

続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。

空圧機器用六角プラグ

空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。

そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。

>>詳細はこちら

クランプブロック

クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。

この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。

A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。

この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。

この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。

>>詳細はこちら

水処理機械用 カップリング

水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。

今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。

お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。

>>詳細はこちら

超々ジュラルミン製 分配ブロック

超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。

この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。

この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。

お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。

>>詳細はこちら

組立冶具(エア便 特急対応)

組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。

今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。

この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。

>>詳細はこちら

丸頭特殊ボルト

丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。

このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。

この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。

>>詳細はこちら

丸頭特殊ボルトアッセンブリ

丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。

このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。

しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。

>>詳細はこちら

⑤未来を見据えた調達戦略は、信頼できるパートナーと共に

ここまで、現状の課題、海外調達におけるメリットや挑戦、私たち株式会社いわいの強みを紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。現在は部品調達に困っていない企業であっても、将来のリスクを見据えた予防的な調達戦略を検討することが重要です。問題が顕在化してから対策を講じるのではなく、事前に選択肢を広げておくことで、将来の変化に柔軟に対応できる体制を築くことができます。 株式会社いわいは、単なる部品調達の仲介業者ではなく、お客様の課題解決をサポートするパートナーとしての役割を果たしています。最初から最後まで、寄り添いながら伴走することで、お客様にとって最適な調達ソリューションを提供し続けます。 

>>お問い合わせはこちら

関連した技術コラム