
製造業のBCP対策には、サプライチェーンの見直しが不可欠です。国内調達の限界が顕在化する今、海外調達はコスト・供給安定性・品質確保の戦略的選択肢です。本記事では、海外調達が持つメリットとリスク、そして商社いわいが「日本品質」で海外部品調達をいかに実現し、貴社のBCP対策と未来を拓くかを具体的に解説します。
製造業のBCP対策とは?
現代のビジネスは、予測不能なリスクに直面しています。自然災害、仕入先の廃業、国際情勢の不安定化といった事象は、企業のサプライチェーンに深刻な影響を及ぼし、事業継続を困難にする可能性があります。特に、精密な部品供給と複雑な生産工程を経て、製品を作る製造業にとって、部品が手に入らなくなると、工場が停止したり、製品が届けられなくなったり、お客様からの信用を失ったりして、大変な損害が出てしまうこともあり得ます。このような状況で、企業が事業を中断させることなく、あるいは中断しても早期に復旧し、主要な事業活動を継続するための計画が「事業継続計画(BCP)」です。BCPは、単なる防災計画とは異なり、非常事態時でも「いかに事業を継続させるか」に焦点を当てます。経営資源の確保、代替手段の検討、指揮命令系統の確立など、損害を最小限に抑えながら事業を継続させるために、日ごろから備えるべき対策です。
製造業にとって、BCP対策の最も大切な目的は、このサプライチェーン全体を丈夫にすることです。なぜなら、部品の調達から製造、そしてお客様への出荷まで、すべての工程が密接につながっているため、どこか一箇所でも問題が起きれば、すべてが止まってしまう危険があるからです。特に、特定の部品や材料の仕入れ先が少ない場合は、その弱さがさらに目立ってしまいます。このため、製造業のBCP対策は、自社の工場の中だけを考えるのではなく、国内外の仕入れ先、運送会社、販売ルートまで、幅広いサプライチェーン全体を見渡して、どこに危険があるかを特定し、別の方法を準備することが不可欠です。
部品加工の国内調達が抱える課題とは?
日本の製造業は今、大きな転換期を迎えています。現在問題なく部品を調達できている企業にとっても、5年後、10年後に同じ部品を同じ品質、同じ価格で調達できる保証はどこにもありません。特に、小規模な町工場では後継者が見つからずに廃業するケースが相次いでおり、これは多くの企業にとって深刻な部品調達の不安となりつつあります。

サプライヤーが減ることは、製造業の調達体制に根本的なリスクをもたらします。特定の部品を供給できる企業が少なくなればなるほど、その一社に頼る度合いが高まります。もし、その唯一の仕入れ先に何か問題が起きた場合、部品の供給が完全に途絶え、自社の生産ラインが停止してしまうという、極めて危険な状況に陥ります。
また、国内での調達コストの高騰も無視できない課題です。人件費や原材料価格、エネルギーコストの増加などが複合的に影響し、国内生産品の価格競争力が低下する傾向にあります。これは、部品を調達する購買担当者にとって、常にコストと品質のバランスをどう取るかという難しい判断を迫られる要因となっています。
BCP対策としての「海外部品調達」でサプライチェーンを強化!
国内調達が抱える構造的なリスクや、予期せぬ事態によるサプライチェーンの寸断といった課題に直面する現代において、製造業のBCP(事業継続計画)対策を強化する上で、部品の海外調達という選択肢がますます重要になっています。海外調達は単にコスト削減の手段としてだけでなく、サプライチェーンを多角化し、安定供給を確保するための有効な手段の一つです。
これまでの「海外調達=安かろう悪かろう」というイメージは、もはや過去のものです。グローバル化が進んだ現在では、海外にも高い技術力と厳しい品質管理体制を持つ工場が数多く存在します。これらの企業は、最新鋭の設備を導入し、品質面で日本の一部工場を凌駕するケースも珍しくありません。
海外からの部品調達は、国内依存のリスクを回避し、複数の供給源を確保することで、安定供給の基盤を強化します。例えば、国内の工場が災害に見舞われた場合でも、海外のサプライヤーから部品を供給し続けることで、生産活動の停止を最小限に抑えることが可能になります。これは、事業継続性を高める上で非常に大きなメリットです。また、コスト競争力の確保という観点からも、海外調達は有効な手段となり得ます。国内の人件費や原材料費の高騰が続く中、海外からの部品調達は品質を維持しながらもコストメリットを追求できます。
このように、海外部品調達は、製造業のBCP対策を強化し、未来に向けた競争力を高めるための重要な戦略的選択肢となります。
いわいだからこそ実現できる海外部品調達
日本の製造業がBCP対策として海外部品調達を検討する際、「言葉の壁」「契約の複雑さ」「品質への不安」といった、目に見えないハードルに直面し、なかなか踏み出せないのが現状です。いわいは、商社としての長年の経験と実績を活かし、これらの障壁をワンストップで解消します。お客様が国内調達と同じ安心感で海外からの部品調達を実現できるよう、包括的なサポートを提供しているのです。
海外調達の「見えないハードル」をワンストップで解消
海外での部品調達は、現地との直接契約や支払い、NDA(秘密保持契約)や取引契約書の整備、為替リスク管理など、慣れない実務が多岐にわたります。これらが海外調達に二の足を踏む大きな理由です。
いわいは、こうした実務的な課題に対し、商社としての専門知識とノウハウで対応します。
現地通貨での支払い対応や為替リスク管理といった財務処理はもちろん、NDAや取引契約の整備を通じて、図面流出や仕様変更リスクを未然に防止します。これにより、お客様は複雑な海外の実務に煩わされることなく、調達業務に集中できる環境を整えられます。日本語対応が可能なベトナム側の窓口との連携や、通訳を交えたオンライン会議の実施など、言語や文化の違いによるコミュニケーションミスを防ぐ体制も構築しており、国内の取引先と変わらない安心感で調達を進めることができます。

ベトナム工場における日本基準の品質管理体制
「海外調達は品質が不安」というイメージは根強く存在しますが、いわいが提携するベトナムの製造企業は、厳格な「日本基準に対応した管理体制」を備え、高品質な部品加工を可能にしています。ベトナムの多くの工場は、日本の品質マネジメント手法を取り入れ、最新鋭の設備を導入しています。品質面で日本の一部工場を凌駕するケースも珍しくありません。

精密部品に対応可能なベトナム協力工場の高い技術力
後継者不足やコスト高騰で国内での対応が減りつつある精密加工品や多工程を要する複雑な部品も、ベトナムには日本基準の品質管理と最新設備を備えた工場が多く、高度な加工に対応可能です。時間や工数を要する精密部品ほど、ベトナムの生産体制はコスト・納期・品質すべてにおいて高いパフォーマンスを発揮します。国内で調達が難しくなりつつある部品こそ、ベトナム調達の本領が発揮される領域であり、いわいは確かな供給先を見極めてお客様のBCP対策に貢献しています。
徹底した「見える化」で海外調達の品質不安を払拭
海外調達における最も大きな不安の一つが「品質」です。いわいは、この品質への不安を解消するため、品質の「見える化」を徹底しています。契約段階から納品後に至るまで、品質リスクを未然に防ぐための万全の体制を構築しています。
契約・検品・梱包の3ステップで品質リスクを徹底管理
海外調達のトラブルは、「契約」と「検品」、そして「梱包」の不備から多く発生します。いわいは、これら3つのステップで徹底管理を行います。まず、NDAや取引契約書の締結を厳格に行い、知的財産保護と仕様変更リスクを防止します。次に、製造された部品の検品は、お客様の不安解消のため「見える化」を徹底します。
Zoomリアルタイム検品と通訳同席による確実な品質確認
納品されるまで品質が分からない、という不安を解消するため、いわいはZoomを活用したリアルタイム検品体制を導入しています。いわいの担当者が日本にいながら、ベトナムの工場で製造された製品の品質を、お客様が直接確認できる環境を提供。通訳が同席することで、細かな仕様変更や調整もスムーズに対応でき、言語の壁によるコミュニケーションミスを防ぎます。「思っていたものと違う」といったトラブルを未然に防止し、納品前に問題を特定・修正対応することで、不良品の発生リスクを最小限に抑え、確実な納期と安心できる品質で部品をお届けします。
海外部品調達した製品事例をご紹介
空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。
そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。
クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。
この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。
A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。
この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。
この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。
水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。
今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。
お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。
超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。
この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。
この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。
お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。
組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。
今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。
この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。
丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。
このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。
この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。
丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。
このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。
しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。
海外部品調達代行はいわいにお任せください!
人手不足や国内サプライヤー廃業など、日本の製造業は調達の課題に直面しています。
いわいは、こうした課題を解決し、コスト削減、安定供給、品質確保、BCP対策を実現する海外部品調達代行のプロです。独自の国内外ネットワークを活かし、言語・品質不安・実務の障壁を解消。「国内と変わらぬ安心」で高品質部品を海外から調達し、貴社のサプライチェーン強化と事業成長を支えます。ぜひご相談ください。