精度も安心も、国内品質以上に。
技術継承・品質保証が整った「海外調達」という新しい選択肢を。
部品加工海外調達コラム
COLUMN

チャイナプラスワンでベトナム調達を始める前に知っておくべき5つのリスクと対策

[ez-toc]
目次

チャイナプラスワンという言葉を聞かない日がないほど、製造業の現場では注目度が高まっています。
中国への過度な依存を避け、複数国への調達分散を図る戦略として、ベトナムを軸足にした調達再構築が加速しています。ただし、「ベトナムはいい」「チャイナプラスワンは必須」という理想論だけでは、
実際の調達は成功しません。ベトナム調達を始める前に知っておくべき5つのリスクと、それぞれの現実的な対策を、お伝えします。
成功企業と失敗企業の分かれ目は、こうした「地味だけど重要な課題」への向き合い方にあるのです。

チャイナプラスワンとベトナム調達、今なぜ製造現場で加速しているのか?

チャイナプラスワンとは?

チャイナプラスワンとは、中国への調達依存を軽減しつつ、中国の利点(大ロット対応、短納期、低単価)を活かしながら、別の国での調達基盤を構築する戦略を指します。つまり、中国を完全に排除するのではなく、調達元を複数化することで、地政学リスクやサプライチェーン断裂のリスクに対応しようとするものです。このチャイナプラスワンの「プラスワン」の筆頭候補として、ベトナムが急速に浮上しているわけです。

ベトナムが選ばれる3つの構造的な理由

ベトナムが選ばれているのには、構造的な理由があります。

まず、ベトナムの製造業労働者の月額賃金は、おおむね中国と比べて20~30%程度低い傾向にあります。特に、機械加工などの技術職でも、この賃金差は維持されています。一方、工場の設備投資額はほぼ同水準であり、つまり「同じ設備投資で、より低い人件費」という優位性が成立しているわけです。ただし重要な注釈として、この賃金差は年々縮小しています。ベトナムの経済成長に伴い、労働者の賃金は上昇傾向にあります。つまり「今がベトナム調達の最適タイミング」という認識を持つ企業も多いのです。


ベトナム製造業の賃金相場について徹底解説したコラムはこちら!
≫ベトナム製造業の賃金相場はどれくらい?

初めてベトナムの工場を訪問して、賃金表を見せてもらった時、「あ、これだけの賃金差があれば、確かに採算が合うな」と納得したことを覚えています。でも同時に「この優位性はずっと続くわけじゃないんだ」という緊張感も感じました。

次に、コスト以上に重要なのが、BCPリスク対応です。国内サプライヤーの廃業は、もはや低確率の事象ではなく、ほぼ確実に起こる経営環境になっています。特に高齢経営者が多い町工場では、後継者がいないまま経営を続ける、またはやむなく廃業を選択するケースが激増しています。「この部品はこの工場でしか作れない」という1社依存は、経営継続上の重大なリスクとなっているのです。

ベトナム調達を進めることで、このリスクを物理的に分散させることができます。国内工場が廃業してもベトナムの工場があれば、事業継続が可能になるわけです。

チャイナプラスワンを超えて、メイン拠点化が進む背景

興味深いことに、最初は「チャイナプラスワン」として始まったベトナム調達が、いつしか「メイン拠点」へと進化するケースが増えています。その理由は、ベトナムの製造業が急速に高度化しているからです。当初は「中国で作れるものは中国、複雑なものはベトナム」という使い分けだったのが、今では「精密部品こそベトナム、汎用部品は中国」という逆転が起きつつあります。
詳しくはこちらのコラムで!
≫ベトナムでの精密旋盤・マシニング加工の限界精度は?なぜベトナムの製造業は最新設備が買えるのか?

つまり、調達戦略の中心がベトナムにシフトし、中国が「プラス」になるという逆転現象が生まれているわけです。

ベトナム調達で失敗する企業は何を見落としているのか?

「図面に書いていないことはやらない」文化の壁

ベトナムの工場と日本の工場では、「仕事の価値観」が大きく異なります。細部への配慮や暗黙の了解といった、日本的な職人文化は、ベトナムではなかなか浸透しません。たとえば、以前のコラムでも細かく説明しましたが、図面に書いてあることを「そのままやる」のか、よりベターな代替案や細部への調整案があれば「空気を読む」ように実行するのか、といったところにその差は見受けられます。前者がベトナム方式であり、日本人は後者に慣れているといえます。ただしこれは工場の問題ではなく、文化的な違いであり、事前の綿密なコミュニケーションで相当程度カバーできる課題でもあります。

材料調達と物流費が生む「コスト逆転」の罠

チャイナプラスワンで最も企業が見落としやすいのが、このコスト構造です。

日本の製造業が使用する材料には、JIS規格で厳格に定められたものが少なくありません。ステンレス鋼、アルミ合金、各種特殊鋼—こうした材料は、ベトナム国内の市場では流通量が限定的です。そのため、調達するためには日本から輸入するか、別の国から輸入する必要があります。この輸入にかかる費用(運送費、関税、現地での手数料)が、思った以上にかさむのです。結果として、部品の製造原価は安くても、材料費を加えるとトータルコストが跳ね上がるという事態が生じます。特に小ロット発注の場合、この傾向は顕著になります。

そして、多くの企業が見落としているのが、輸送費と関税の試算です。海上輸送の場合、港湾料金、保険料、通関手数料、国内配送料—こうした費用が積み重なります。特に「少量多頻度」の発注では、1個当たりの輸送費が極めて高くなります。

また、日本への輸入品には関税が課せられます。ベトナムからの輸入品の場合、協定関税の適用により、一定程度の軽減措置はありますが、完全に無税ではありません。見積もり段階でこれらの費用を見落とすと、実際の発注時に予算超過という事態が起きやすいのです。

先輩とコスト試算をやり直した時のことです。部品単価では確かにベトナムが安いのですが、材料費、輸送費、関税を全部加えると「あ、国内工場と変わらないのか」ということが分かりました。でも逆に「だからこそ、単なるコスト最適化じゃなくて、BCP対策としての意味が大事なんだ」って理解できました。

契約用語のニュアンス違いが招くトラブル

海外調達では、契約書の細部が後々大きなトラブルに発展する可能性があります。

「納期」という言葉一つにしても、日本では「工場出荷日」を指すことが慣例的です。ですがベトナムでは「工場での製造完了日」と解釈されることが多くあります。その差は輸送日数(通常1~2週間)であり、納期遅延のトラブルに直結します。また、「品質基準」についても注意が必要です。日本では「JIS規格準拠」と書かれることが多いのに対し、ベトナムでは「ISO国際規格基準」と解釈されることがあります。両規格は微妙に異なり、後から「基準の解釈が違った」という争いに発展する可能性があります。

さらに「責任の範囲」についても、双方の法的背景の違いから、解釈が異なることが珍しくありません。こうした契約用語のニュアンス違いは、単に翻訳するだけでは解決しません。双方の商習慣と法的背景を理解した上で、詳細に詰める必要があるのです。契約書を詰めている時に、「納期」の定義について現地工場と議論になったことがあります。こちらは「出荷日」のつもりで納期を決めてたんですけど、工場は「製造完了日」だと思ってた。その差で2週間のズレが生じていて、「あ、こういう細かいところで大きなトラブルになる」と実感しました。

チャイナプラスワンでベトナム調達を始めることは、多くの企業にとって必要な選択肢です。しかし、その前に、こうした構造的なリスクと、現場レベルでの課題をしっかり理解しておくことが、成功の鍵となるのです。

こちらのコラムでは海外部品調達のよくあるトラブルについてより詳しく完全ガイドとしてお届けしております。ぜひご覧ください。
≫【完全ガイド】海外部品調達のよくあるトラブル10選とその解決策とは?

 

「国内品質×海外調達」を実現!海外協力工場の実力を、映像でご確認ください!

【ベトナム企業紹介】 設計から塗装・アフターサービスまでワンストップ対応

本動画では、設計から生産、塗装、アフターサービスまで 一貫して対応できる海外協力企業をご紹介しています。

【海外協力企業紹介】NDAに基づく情報管理体制|部品加工海外調達センター

本来であれば製造現場の詳細をお見せしたいところですが、 本動画では、NDA(秘密保持契約)に基づき公開できない箇所にぼかし加工を施しています。

【ベトナム協力企業紹介】精密加工から組立・塗装までワンストップ。ベトナム巨大加工企業の実力

ベトナムで6拠点・従業員2000名規模の巨大加工企業をご紹介します。

実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介

続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。

空圧機器用六角プラグ

空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。

そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。

>>詳細はこちら

クランプブロック

クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。

この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。

>>詳細はこちら

A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。

この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。

この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。

>>詳細はこちら

水処理機械用 カップリング

水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。

今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。

お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。

>>詳細はこちら

超々ジュラルミン製 分配ブロック

超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。

この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。

この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。

お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。

>>詳細はこちら

組立冶具(エア便 特急対応)

組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。

今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。

この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。

>>詳細はこちら

丸頭特殊ボルト

丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。

このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。

この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。

>>詳細はこちら

丸頭特殊ボルトアッセンブリ

丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。

このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。

しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。

>>詳細はこちら

ベトナムでの金属加工品の調達は、株式会社いわいにお任せください!


今回お伝えしたように、ベトナム調達には大きなメリットがある反面、「文化や商習慣の違い」や「複雑な物流・関税によるコスト逆転」など、現場レベルでの複合的なリスクが潜んでいます。こうした海外調達ならではの「現場の壁」は、一般的な対策だけでは防ぎきれません。

いわいでは、厳しい審査をクリアしたベトナム優良工場のネットワークを活かし、独自の「日本品質」基準で最適なサプライヤーを選定しています。さらに、現地スタッフと連携した「Zoomリアルタイム検品」による手戻り防止や、日本語対応スタッフを介したスムーズな進捗管理、そして見落としがちな輸送・通関を含めた複雑な貿易実務のワンストップ代行により、品質・納期・コスト面のリスクを極限まで低減します。

国内工場の廃業リスク(BCP対策)への備えから、メイン拠点としての活用まで。貴社の生産計画を守り、「確実な納品」と「安心の品質」を実現するベトナム部品調達は、株式会社いわいにお任せください。

関連した技術コラム