バルブの気密性や作動性を左右する心臓部、それが「バルブステム(弁棒)」です。わずか数ミクロンの精度のズレが、漏れや作動不良といった重大なトラブルを引き起こすため、高い同軸度や表面粗さが求められる重要保安部品として扱われています。
しかし、国内ではバルブステムのような高精度部品を手掛けられる熟練技術者の高齢化が進み、納期の長期化やコストの上昇が課題となっています。こうした状況の中、海外調達、特にベトナムでの調達が注目されています。特殊技術を活用することで、国内品質を維持しながらコストダウンを実現できるからです。
本記事では、バルブステムの海外調達において「漏れ」や「作動不良」といった品質トラブルを防ぎつつ、安定した調達を実現するためのポイントを解説します。私自身も実物を見ながら解像度をあげてきたので、是非最後までご覧ください!
バルブステムとは?
まず、バルブステム、別名で弁棒と呼ぶものは、バルブの開閉を制御するための棒状の部品です。ハンドルやアクチュエーターからの動きを弁体に伝える、いわばバルブの「心臓部」とも言える重要な役割を担っています。
流体が通る配管システムにおいて、バルブステムは気密性や作動性に直結する部品です。そのため、わずかな寸法のズレや表面の粗さが、漏れや作動不良といった重大なトラブルを引き起こす可能性があります。特に、化学プラント、食品工場、半導体製造装置など、高い安全性や衛生管理が求められる現場では、バルブステムの品質が製品全体の信頼性を左右すると言っても過言ではありません。
私自身、ちょうど数ヶ月前に初めてバルブステムの実物を手に取ったとき、その繊細な仕上がりに驚きました!一見シンプルな棒状の部品に見えますが、ミリ単位どころかミクロン単位の精度が求められる、非常に高度な加工技術の結晶だと実感しました。
バルブステム(弁棒)に求められる厳しい精度要件(同軸度・真円度)
バルブステムには、以下のような厳しい精度要件が求められます。
同軸度(どうじくど)
バルブステムの軸が、取り付け部やネジ部と正確に一致している必要があります。同軸度がズレていると、バルブの開閉時にステムが斜めに動いてしまい、シール面に均等な力がかからず、漏れの原因となります。
真円度(しんえんど)
ステムの断面が真円であることも重要です。真円度が低いと、パッキンやグランドとの接触面に隙間が生まれ、流体が漏れ出す可能性があります。
表面粗さ
シール面や摺動部の表面粗さは、気密性や作動性に直結します。表面が粗いと、パッキンを傷つけたり、摩耗が早まったりするため、滑らかな仕上げが不可欠です。
ネジ精度
ステムの先端やハンドル側にはネジが切られていることが多く、このネジ精度も重要です。ネジ山のピッチや角度がズレていると、組み付け時に締結不良が起こり、作動不良や破損の原因となります。
これらの要件を満たすためには、高度な旋盤加工技術と研磨加工技術が必要です。しかし、こうした技術を持つ国内の加工業者は、現在大きな課題に直面しています。
国内調達の課題:高齢化による旋盤・研磨加工技術者の不足
近年、日本国内で高齢化がすすんでいますが、中でも旋盤加工や研磨加工といった精密加工技術を持つ技術者の高齢化も例外なく顕著な課題となっています。特に、バルブステムのような高精度部品を手掛けられる熟練技術者は年々減少しており、後継者不足も深刻です。
購買調達担当者としては、以下のような課題に直面することが増えています。
- 納期の長期化:技術者不足により、小ロット品や試作品の対応が難しくなり、納期が延びるケースが増加
- コストの上昇:熟練技術者の人件費高騰により、加工コストが上昇
- BCP対策の困難さ:特定の加工業者に依存せざるを得ず、災害や事業継続リスクへの対策が取りにくい
私も調達業務をしている中で、ある国内加工業者から「私たちももう高齢で、あと何年続けられるか…」という話を聞くことは少なくありません……。多くの業界でいえることではあるのかもしれませんが、改めて専門分野における技術継承の難しさを痛感しました。品質の高い国内調達先を確保し続けることが、今後ますます難しくなっていくことを実感した瞬間でした。
ベトナム調達の強み:最新NC旋盤+研磨加工による高精度仕上げ
こうした国内調達の課題を解決する選択肢の一つが、海外調達です。特にベトナムは、近年精密加工技術が急速に進化しており、バルブステムのような高精度部品の調達先として注目されています。
最新NC旋盤による高精度加工
ベトナムの協力工場では、最新のNC旋盤を導入しており、同軸度や真円度といった厳しい精度要件にも対応可能です。NC旋盤はコンピュータ制御により、人の手による誤差を最小限に抑えられるため、安定した品質を実現できます。
研磨加工による滑らかな仕上げ
旋盤加工後には研磨加工を施すことで、表面粗さを極限まで抑えた滑らかな仕上げが可能です。シール面や摺動部の品質が向上し、漏れや作動不良のリスクを大幅に低減できます。
コストメリット
人件費が日本と比較して低いため、同等の品質でありながらコストダウンを実現できます。特に量産品においては、大きなコスト削減効果が期待できます。
多品種小ロット対応
ベトナムの協力工場は柔軟性が高く、多品種小ロットの試作品から量産品まで幅広く対応可能です。
「漏れ」を防ぐ!ネジ精度とシール面の品質管理ポイント
バルブステムの品質において、特に重要なのが「漏れ」を防ぐための品質管理です。ここでは、ネジ精度とシール面の管理ポイントについて解説します。
ネジ精度の管理
バルブステムのネジ部は、ハンドルやアクチュエーターとの接続部分であり、締結力や作動性に直結します。以下のポイントが重要です。
- ネジ山のピッチ精度:ピッチがズレていると、組み付け時に締結不良が起こります
- ネジ山の角度:JISやISOなどの規格に準拠した正確な角度が必要です
- ネジ山の表面粗さ:粗い表面は摩耗や破損の原因となります
シール面の品質管理
シール面は、パッキンやグランドと接触する部分であり、気密性を保つための最重要ポイントです。
- 表面粗さの測定:Ra値(算術平均粗さ)やRz値(最大高さ粗さ)を測定し、規格内に収めることが必須です
- キズ・打痕のチェック:目視検査や拡大鏡を用いて、わずかなキズや打痕も見逃さないことが重要です
- 真円度の確認:真円度測定器を用いて、シール面の形状精度を確認します
株式会社いわいでは、Zoomを活用したリアルタイム検品を実施しており、日本にいながらベトナム工場での検品状況を確認できます。先日、私もリアルタイム検品に立ち会いましたが、現地スタッフが測定器を使って表面粗さやネジ精度を測定する様子を画面越しに確認でき、安心感がありました。検品合格率99%以上という実績も、こうした徹底した品質管理によって支えられています。
株式会社いわいのバルブ部品調達事例
株式会社いわいでは、バルブステムをはじめとするバルブ部品の海外調達実績が豊富です。以下、代表的な材質と調達事例をご紹介します。
SUS304(ステンレス鋼)
汎用性が高く、耐食性に優れた材質です。食品工場や一般産業用バルブに広く使用されています。
SUS316(ステンレス鋼)
SUS304よりもさらに耐食性が高く、海水や化学薬品に対する耐性があります。化学プラントや海洋設備のバルブに使用されます。
SUS403(ステンレス鋼)
硬度が高く、耐摩耗性に優れた材質です。高温環境や摺動部分に使用されるバルブステムに適しています。
以下が、一般的な調達の流れになっています:
- 設計図面の確認:お客様から提供された図面をもとに、精度要件や材質を確認します
- 工場選定:ベトナムの協力工場の中から、加工能力や実績を踏まえて最適な工場を選定します
- 試作・承認:試作品を製作し、寸法測定や表面粗さ測定を実施。お客様の承認を得た後、量産に移行します
- 量産・検品:量産時も全数検品または抜き取り検品を実施し、品質を担保します
- 納品:国内倉庫を経由して、お客様のもとへ納品します
バルブ部品の海外調達・BCP対策ならご相談ください
株式会社いわい では、海外工場とのNDA締結率100%を実現しており、お客様の設計情報や技術情報を厳重に管理しています。安心してお任せいただける体制を整えています。バルブステムをはじめとするバルブ部品の調達において、国内調達の課題を解決し、品質とコストの両立を実現するためには、海外調達という選択肢が有効です。
バルブ部品の海外調達やBCP対策でお困りの際は、ぜひ株式会社いわいまでご相談ください。お客様の課題に寄り添い、最適な調達ソリューションをご提案いたします。