
海外からの部品調達について、「コスト削減やBCP対策のために必要だ」と感じつつも、品質や納期、信頼できる商社の選び方に不安を抱えてはいませんか?国内サプライヤーの技術継承問題などを背景に、今や海外調達は企業の未来を支える重要な選択肢となっています。
専門商社を活用すれば多くのメリットを享受できますが、その成功は「どの商社を選ぶか」にかかっていると言っても過言ではありません。品質保証体制の具体性や、技術的な要求を正確に伝える能力など、パートナー選びには重要なポイントが存在します。
今回のコラムでは、海外部品調達で専門商社を使うメリット・デメリットから、最も重要な「失敗しない商社の選び方」、そして株式会社いわいならではの具体的な解決策と事例までを、詳しく解説いたします。また、過去コラム「海外調達と国内調達のメリット・デメリットとは?」もあわせてお読みいただけるとよりわかりやすいかと思います。
海外部品調達が今、製造業で注目される理由とは?
現在の製造業において、海外部品調達への注目が高まっている背景には、複数の重要な要因があります。
まず、コスト競争力の確保が挙げられます。国内製造コストの上昇により、従来の調達方法では価格競争力を維持することが困難になってきています。海外調達により、品質を維持しながらコストダウンを実現することで、市場競争力を強化できます。
次に、BCP(事業継続計画)対策としての重要性が増しています。単一地域からの調達に依存することのリスクが、近年の様々な事象により顕在化しました。調達先の地理的分散により、供給リスクを軽減し、事業の継続性を確保することが可能になります。
さらに、国内サプライヤーの技術継承問題も深刻な課題となっています。熟練技術者の高齢化や後継者不足により、これまで安定していた国内調達先の将来性に不安が生じています。海外調達は、このような構造的課題への対応策としても位置づけられています。
加えて、グローバル市場での競争力確保の観点からも、海外調達は重要な戦略となります。海外市場への展開を見据えた場合、現地調達網の構築や国際的なサプライチェーンの最適化は必要不可欠です。
海外部品調達において専門商社を活用する5つのメリット
メリット1:現地ネットワークの活用による効率的なサプライヤー開拓
専門商社の最大の強みは、現地に築き上げられた豊富なネットワークです。自社で一から海外サプライヤーを開拓する場合、現地の商習慣や文化の理解、信頼できる取引先の見極めに膨大な時間とコストが必要になります。
専門商社を活用することで、既に構築された現地ネットワークを通じて、短期間で適切なサプライヤーを見つけることが可能になります。また、現地の市場情報や技術動向についても、リアルタイムで情報収集できるため、より戦略的な調達判断が可能になります。
メリット2:言語・文化の壁を解消したスムーズなコミュニケーション
海外調達における最も大きな課題の一つが、言語と文化の違いです。技術的な要求事項を正確に伝達し、品質基準を共有することは、言語の壁がある中では非常に困難です。
専門商社は、現地語でのコミュニケーション能力に加え、両国の商習慣や文化的背景を理解しているため、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。特に、技術的な仕様や品質要求については、専門知識を持った担当者が適切に翻訳・伝達することで、期待通りの成果を得ることが可能になります。
メリット3:品質管理とリスク管理の専門性
海外調達において最も重要な課題の一つが品質管理です。遠隔地での製造において、国内と同等の品質を確保することは容易ではありません。専門商社は、現地での品質管理体制を構築し、継続的な品質監視を行います。
また、為替変動、政治的リスク、自然災害などの様々なリスクに対する管理ノウハウも持っています。これらのリスクを適切に評価し、対策を講じることで、安定した調達を実現できます。
メリット4:物流・通関業務の効率化
海外調達では、複雑な物流手配や通関手続きが必要になります。これらの業務は専門性が高く、自社で対応する場合は多大な工数とコストが発生します。
専門商社は、効率的な物流ルートの選択、通関書類の作成、関税や各種規制への対応など、国際物流に関する全般的なサポートを提供します。これにより、調達担当者は本来の業務に集中でき、全体的な業務効率が向上します。
メリット5:調達業務の工数削減と専門性の活用
海外調達を自社で行う場合、サプライヤー選定から契約交渉、品質管理、物流手配まで、多岐にわたる業務を内製化する必要があります。これには専門知識を持った人材の確保と育成が必要で、相当な投資が必要になります。
専門商社を活用することで、これらの専門業務をアウトソースでき、社内リソースをより付加価値の高い業務に集中させることができます。また、商社の専門性により、自社で対応するよりも高い成果を期待できます。
知っておくべき商社を利用する際の注意点
専門商社の活用には多くのメリットがある一方で、注意すべき点もいくつかあります。
まず仲介手数料、いわゆるマージンコストの発生が挙げられます。商社を介することでマージンが発生し、直接調達と比較してコストが上昇する場合があります。ただし、自社で海外調達を行う場合の総コストと比較検討することが重要です。
次に、サプライヤーとの直接関係の希薄化があります。商社を介することで、最終的なサプライヤーとの直接的な関係構築が困難になる場合があります。長期的な技術協力や改善活動において、この点は重要な考慮事項となります。
情報の透明性についても留意が必要です。商社を介することで、サプライヤーの詳細情報や製造プロセスの可視性が低下する場合があります。必要な情報開示について、事前に明確にしておくことが重要です。
失敗しない海外調達商社の選び方 3つのポイント
ポイント1:具体的な品質保証体制と実績の確認
商社選定において最も重要なのは、品質保証体制の具体性です。単に「品質管理を行います」という抽象的な説明ではなく、具体的な検査体制、検査設備、品質基準、不良品発生時の対応プロセス などを詳細に確認することが必要です。
ポイント2:技術的要求への対応能力と専門性
業界や製品に特化した専門知識を持っているかどうかは、非常に重要になってきます。技術的な仕様書を正確に理解し、現地サプライヤーに適切に伝達できる技術者が在籍しているか、などがそれにあたります。また、設計から製造まで一貫したサポートが可能かどうかも重要です。単純な仕様伝達だけでなく、製造プロセスの改善提案や品質向上のための技術的アドバイスができる商社を選ぶことで、より高い成果を期待できます。
ポイント3:現地でのリアルタイム対応体制
海外調達においては、問題が発生した際の迅速な対応が重要です。現地に常駐スタッフがいるか、言語キャパシティや緊急時の対応プロセスはどのようになっているかは確認が必要です。遠隔地からの管理だけでは対応できない問題も多く、現地での機動力が商社の真価を決定します。
いわいだからこそ可能な「国内品質以上の海外調達」
当社では、主にベトナムを拠点とした海外部品調達において、「国内品質以上」の成果を実現しています。
圧倒的な品質保証体制
当社の品質管理体制は、検品合格率99%以上、品質トラブル発生率0.2%以下という実績に裏付けられています。これは、現地に常駐する品質管理スタッフによる厳格な検査体制と、Zoomを活用したリアルタイム検品システムにより実現されています。
お客様は、製造現場の様子をリアルタイムで確認でき、必要に応じて検査内容の指示や品質基準の調整を行うことができます。この透明性の高い品質管理により、国内調達と同等以上の品質を確保しています。
設計から製造までワンストップサポート
当社では、単純な調達代行にとどまらず、設計段階からのサポートを提供しています。お客様の技術的要求を正確に理解し、最適な製造方法や材料選定を提案します。また、製造工程での改善提案も積極的に行い、品質向上とコスト削減を両立します。
海外工場とのNDA締結率100%により、お客様の技術情報や機密情報を確実に保護しながら、深いレベルでの技術協力を実現しています。
国内品質×海外調達の実現
当社の強みは、国内で培った品質管理ノウハウを海外調達に適用していることです。日本の製造業で求められる厳格な品質基準を、現地工場に導入・定着させることで、「国内品質×海外コスト」を実現しています。
現地スタッフへの教育プログラムや、継続的な品質改善活動により、調達開始後も品質レベルの向上を続けています。また、お客様との密接なコミュニケーションにより、要求品質の変化にも柔軟に対応しています。
包括的なリスク管理
為替変動、政治的リスク、自然災害など、海外調達に伴う様々なリスクに対して、包括的な管理体制を構築しています。複数のサプライヤーネットワークの確保、適切な在庫管理、緊急時対応プロセスなど、事業継続性を確保するための仕組みを整えています。
また、現地の法規制変更や貿易関連の規制についても、常に最新情報を把握し、お客様への影響を最小限に抑える対策を講じています。
海外部品調達の成功は、適切なパートナー選びにかかっています。株式会社いわいでは、これまで培ってきた経験と実績を基に、お客様の海外調達を成功に導きます。コスト削減と品質確保を両立する海外調達をお考えの際は、ぜひ当社にご相談ください。
実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介
続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。
空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。
そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。
クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。
この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。
A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。
この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。
この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。
水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。
今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。
お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。
超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。
この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。
この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。
お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。
組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。
今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。
この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。
丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。
このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。
この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。
丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。
このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。
しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。