「海外調達は品質が心配…」
「現地の品質基準が日本と違うのでは…」
製造業の購買担当をしている方であれば、海外部品調達に対してこのような不安を抱いたことは一度はあるのではないでしょうか。
確かに、言語や文化の違い、品質に対する考え方の相違などにより、期待する品質の部品が納品されないリスクは存在します。しかし、適切なパートナーシップと管理体制があれば、海外調達でも国内調達と同等以上の品質を実現することは十分可能です。本記事では、いわいが商社として培ってきた独自のノウハウと品質管理体制により、「海外調達は品質が不安」に対する答えとして、安心して高品質な海外部品調達を進めるためのポイントをご紹介します。

商社が行う品質管理とは?
品質管理の多層防御システム
商社による海外部品調達の品質管理は、単一の検査工程ではなく、サプライヤー選定から検査、納品まで各段階で品質を保証する多層防御システムです。この体系的なアプローチにより、品質問題の発生を事前に防ぎ、万が一問題が発生した場合も迅速な対応を可能にしています。
日本品質基準の海外展開
商社の重要な役割の一つは、日本の品質基準を海外の製造現場に正確に伝達し、実現させることです。これは単純な仕様書の翻訳ではなく、品質に対する考え方や細部への注意点まで含めた文化的な橋渡しといえます。
例えば、日本では当たり前とされる「不良ゼロ」の考え方や、継続的改善の重要性、顧客満足を最優先とする姿勢などは海外では同じ基準ではなかったり、私たちが当然と思っている感覚がそうではないことが多々あります。それらを、現地スタッフに理解してもらい、実際の製造工程に反映させる必要があります。商社はこの文化的な違いを埋める専門的な知識とノウハウを持っています。
第三者としての客観的監視
製造メーカーが海外工場と直接取引をする場合と異なり、商社は第三者的な立場から客観的に品質を監視できる強みがあります。メーカーと海外工場の間に入ることで、両者の利害関係に左右されることなく、純粋に品質基準に基づいた判断を行うことができます。
この中立的な立場により、品質問題が発生した際も冷静かつ迅速な対応が可能となり、メーカーにとって最適な解決策を提案できます。また、複数のメーカーとの取引実績に基づく豊富な品質管理経験を活用し、より効果的な品質改善提案も行えます。
海外部品調達における「品質問題」の根本的な原因とは?
コミュニケーション不足による仕様の誤解
海外部品調達で最も多く発生する品質問題の根本原因は、技術仕様や品質要求の伝達不足です。言語の違いはもちろん、技術用語の解釈、図面の読み方、許容範囲の考え方など、様々なレベルでのコミュニケーションの不足が品質問題を引き起こします。
特に、日本の製造業で一般的な「暗黙の了解」や「常識的な品質レベル」は、海外では必ずしも共通認識ではありません。例えば、「きれいに仕上げる」という指示も、別の国では「きれい」の定義も異なり、仕上がりレベルに大きな差が生まれる可能性があります。
「品質管理」の認識の相違
各国の製造業における品質管理への取り組み方や優先順位は大きく異なります。コスト優先の文化が根強い地域では、品質向上のための追加工程や検査を「無駄なコスト」と捉えられることもあります。
また、品質問題が発生した際の対応姿勢も地域によって差があります。日本では当然とされる「再発防止策の検討と実施」や「継続的な改善活動」が、海外では十分に理解されない場合があり、同様の問題が繰り返し発生するリスクがあります。
検査・監視体制の不備
直接取引では、海外現地での製造工程や品質検査の状況を日本から監視することが困難です。結果として、完成品が日本に到着してから品質問題が判明し、納期遅延や追加コストが発生するケースが後を絶ちません。
特に、中間検査や工程管理が不十分な場合、問題の早期発見ができず、大量の不良品が製造されてしまうリスクもあります。リアルタイムでの品質状況把握と、問題発生時の即座の対応が品質管理には不可欠です。
商社だからこそ可能なサプライヤー選定とパートナーシップ
マーケットインによる戦略的工場開拓
株式会社いわいでは、単純な価格競争力や生産能力だけでサプライヤーを選定するのではなく、顧客の具体的な課題解決を起点とした戦略的な工場開拓を行っています。品質に対する真摯な姿勢、日本の高品質要求への理解と対応意欲、そして長期的なパートナーシップへの意識を重視して製造パートナーを厳選しています。
この選定プロセスでは、工場の設備や技術力の評価に加えて、経営陣や現場スタッフとの直接対話を通じて、品質管理に対する考え方や継続改善への取り組み姿勢を詳細に確認します。同じ方向を向き、温度感を共有できる企業との取引により、安定した高品質な部品調達を実現しています。
100%のNDA締結による信頼関係構築
海外調達において重要な懸念事項の一つが、技術情報の機密保持です。当社では、海外工場との秘密保持契約(NDA)締結率100%を達成し、お客様の大切な技術情報や設計データを完全に保護しています。
このNDA締結により、お客様は安心して詳細な技術仕様や品質要求を海外工場と共有でき、より精密で高品質な部品製造が可能になります。また、継続的な技術改善や新製品開発における協力関係も構築しやすくなります。
長期パートナーシップによる品質向上
商社として複数の製造パートナーと長期的な関係を築くことで、継続的な品質向上を実現しています。単発の取引ではなく、継続的なビジネス関係により、製造パートナーも品質向上への投資や改善活動に積極的に取り組むインセンティブが生まれます。
また、複数案件を通じて蓄積された品質管理のノウハウや改善事例を、製造パートナーと共有することで、全体的な品質レベルの底上げを図っています。このような相互利益に基づく関係構築が、安定した高品質な部品調達の基盤となっています。
商社が海外調達の品質不安を解消する「海外調達事例」
リアルタイム検品システムの活用事例
精密機械部品の調達において、従来は完成品の到着を待って品質確認を行っていたため、問題発見時の対応が困難でした。当社では、Zoomなどのデジタルツールを活用したリアルタイム検品システムを導入し、製造工程の各段階で品質状況を日本から直接確認できる体制を構築しました。
この結果、製造途中での品質問題の早期発見が可能となり、不良品の大量製造を防ぐことができました。また、お客様も製造進捗と品質状況をリアルタイムで確認できるため、安心感が大幅に向上しました。検品合格率99%以上という高い品質レベルを安定して維持できています。
品質トラブル発生率0.2%以下の実現
複雑な加工を要する産業機械部品の調達において、当初は品質のばらつきや仕様不適合が頻発していました。当社では、製造工程の標準化、中間検査の強化、そして品質基準の明文化により、品質トラブル発生率を0.2%以下まで削減することに成功しました。
この改善プロセスでは、製造パートナーとの密接な協力により、日本の品質基準を現地の製造工程に適応させる具体的な手法を開発しました。継続的な改善活動により、現在では国内調達と同等以上の品質安定性を実現しています。
ワンストップサービスによる品質の一貫管理
設計から製造まで複数の工程を経る複合部品の調達において、各工程間での品質情報の伝達不足が課題となっていました。当社のワンストップサービスにより、設計支援、図面データ化、部品製造、品質検査までを一貫して管理することで、品質情報の確実な伝達と管理を実現しました。
このアプローチにより、各工程での品質基準の統一と、問題発生時の迅速な原因究明が可能となりました。お客様は複数業者との個別対応が不要となり、品質管理の効率性も大幅に向上しました。
発注から検査・納品まで、いわいにお任せください
設計支援から始まる品質への取り組み
当社の品質管理は、お客様からの発注を受けてから始まるのではありません。海外製造に適した設計変更の提案や、品質安定性を向上させる仕様調整など、上流工程からの品質作り込みを支援します。
図面データの作成・変換においても、海外製造現場での理解しやすさと誤解の回避を重視し、詳細な仕様書や品質基準書の作成を行います。これにより、製造開始前から品質問題の発生リスクを最小限に抑えることができます。
契約・検品・梱包の三段階品質保証
発注後の品質管理では、契約、検品、梱包の各段階で品質保証を実施しています。契約段階では品質基準と検査方法を明確に定義し、検品段階では日本の品質基準に基づく厳格な検査を実施、梱包段階では輸送品質の確保まで責任を持って対応します。
この三段階の品質保証により、納品後のトラブルを未然に防ぐ仕組みを確立しています。万が一問題が発生した場合も、各段階での記録に基づいて迅速な原因究明と対策実施を行います。
継続的改善による品質向上
品質管理は一度構築すれば完成というものではありません。当社では、各案件から得られた品質管理のノウハウと改善点を継続的に蓄積し、次の案件に活かす改善サイクルを確立しています。
お客様からのフィードバック、製造パートナーからの改善提案、そして当社の品質管理経験を統合し、常により良い品質管理体制の構築を目指しています。このような継続的改善により、海外調達でありながら国内調達を上回る品質レベルの実現を追求しています。
実際にいわいが海外で調達した製品事例をご紹介
続いて、実際に当社がベトナムをはじめとした海外で調達した精密部品の製品事例をご紹介いたします。
空圧機器用六角プラグ

この製品は、品質を担保するために、材料に日本製の真鍮(C3604)を使用することが必須条件でした。そのためご相談前のお客様は、コストが割高になる国内での生産を余儀なくされていました。
そこで当社では、お客様の指定する日本製の材料をベトナムに輸入し、現地で製造するというスキームをご提案。これにより、品質条件を満たしたまま、大幅なコストダウンを実現しました。
「海外調達は品質が不安」という固定観念を払拭し、安心して高品質な海外部品調達を進めるために、商社としての専門知識とノウハウを最大限に活用したサポートを提供いたします。品質に関するご不安やご質問がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
クランプブロック

このクランプブロックの調達において、お客様は深刻なサプライチェーンの問題に直面していました。近年、国内では黒染め処理に対応できる加工業者が年々減少しており、「精密なマシニング加工」から「繊細な表面処理」までを一貫して任せられるサプライヤーが、国内では見つからなくなってしまったとのでした。
この将来的なお悩みに対し、当社はベトナムの提携工場での「一貫生産」をご提案いたしました。加工から表面処理までを別々の企業で行う場合、工程間の輸送で傷がつくリスクや、品質管理の分断といった問題が避けられません。しかし当社では、マシニング設備を保有する加工業者と、黒染め処理設備を保有する表面処理業者と、それぞれで最適なパートナー企業を選定いたしました。これにより、当社による一元的な品質管理体制の下で、移動に伴う品質リスクをゼロにし、お客様の厳しい要求をクリアすることが可能となります。
A6061製 空圧機器用 マニホールドブロック

アルミ(A6061)製のマニホールドブロックです。マシニング加工後、アルマイト処理を施して仕上げています。
この製品は、機能面・外観面において、一切の傷が許されないという非常に厳しい品質基準が設けられていました。そのためお客様は、品質が安定し、かつ信頼できる検査体制を持つサプライヤーを求めていらっしゃいました。
この厳格な品質要求に対し、当社はベトナムパートナーが持つ高度な品質保証体制でお応えました。
水処理機械用 カップリング

こちらは、水処理機械に使用されるステンレス(SUS304)製のカップリングです。高精度な四角穴(公差:-0, +0.05)の加工が特徴です。
今回のご相談は、お客様が直面していた、深刻な事業継続の課題から始まりました。まず、長年この部品を供給していた国内の仕入先が廃業してしまい、代替となるサプライヤーが見つからず、やむなくお客様が自社での内製化に踏み切りました。しかし、その頼みの綱であった社内の加工部門も、深刻な人手不足により、担い手がいなくなってしまうという危機的な状況に陥っていました。
お客様が「新たな職人を探して採用するしかない」とまでお考えだった、この「人手不足」という経営課題に対し、当社は海外での一貫生産をご提案いたしました。
超々ジュラルミン製 分配ブロック

こちらは、機械部品として使用されるアルミ(超々ジュラルミン:A7075-T651)製の分配ブロックです。直角度0.01、平行度・平面度0.02、さらにはH7の穴公差など、複数の厳しい幾何公差が求められる、高精度なマシニング加工品でした。
この製品の最大の課題は、A7075-T651という特殊な材質にありました。お客様はこれまで、「この材料は、専門業者でなければ材料入手も加工も不可能だ」とお考えでしたが、そのためアルミダイカスト専門業者にサプライヤーが限定されることで、コストが高止まりしている状況にありました。
この長年の課題に対し、当社はベトナムの提携工場でのワンストップ生産をご提案いたしました。当社の幅広いネットワークを駆使することで、特殊なA7075材の安定調達ルートを確保することも可能です。さらに、高い技術力を持つパートナー企業にて、材料調達から高精度なマシニング加工、黒アルマイト処理、そして精密検査までを一貫して行うことで、大幅なコストダウンを実現いたしました。
お客様からは、「専門業者しか扱えない」という長年の思い込みが覆され、品質を維持したまま、これほど大きなコストダウンが実現できたことに、驚きと喜びの声をいただいております。
組立冶具(エア便 特急対応)

生産ラインで使用されるアルミ(A2017)製の組立治具です。今回は「受注後5日間」という、極めて短い納期でのご依頼でした。
今回のお客様は、急な仕様変更により、組立治具が特急で必要となったとのことでした。しかし、海外調達では船便輸送が基本となるため、このような超短納期での対応は不可能だとお考えでした。
この「特急対応」という非常に高いハードルのご要望に対し、当社はベトナムでの製造と、輸送手段を航空便(エア便)に切り替えるというスキームをご提案いたしました。製造から出荷までを最優先で進め、航空便を活用することで、受注からわずか5日間という、国内調達と変わらないスピードでお客様の元へ製品をお届けすることに成功しました。
丸頭特殊ボルト

機械部品として使用されるSUJ2製の丸頭特殊ボルトです。冷間加工で成形され、真球度S0.03という極めて高い精度が求められます。
このお話は、お客様が長年取引していた国内の冷間加工メーカーが廃業してしまい、この特殊ボルトのサプライチェーンが完全に途絶えてしまったという、深刻なご相談から始まりました。特に、SUJ2という材質の冷間加工と、その後の高周波焼入れまでを一貫して対応できる、高い技術力を持ったサプライヤーであったため、代替先を見つけるのは絶望的な状況でした。
この危機的な状況に対し、当社はベトナムでのワンストップ生産をご提案。当社のネットワークを駆使し、SUJ2材の冷間加工に対応できるだけでなく、現地で高周波焼入れまで一貫して行えるという、お客様の要求を完璧に満たすパートナー企業をベトナムにて選定し、お客様とマッチングして解決いたしました。
丸頭特殊ボルトアッセンブリ

こちらは、特殊ボルト(SCM440他)と複数の部品からなる、丸頭特殊ボルトアッセンブリです。各種サイズを取り揃え、最終の梱包まで含めたOEM供給に対応しています。
このお話は当初、お客様が取引していた国内の部品メーカーが廃業してしまい、構成部品である「特殊ボルト単品」の調達先を探している、というご相談から始まりました。
しかし、当社がお話をお伺いする中で、お客様がその特殊ボルトを調達後、他の部品と組み合わせて社内で組立・梱包作業を行っており、その工数や管理コストが大きな負担となっていることが分かりました。そこで当社は、単にボルト単品を製造するのではなく、関連部品の調達から組立、梱包までをすべて一貫して海外で行う「アセンブリ供給」をご提案いたしました。組立工程の半自動化なども含めた、トータルコストダウンのスキームを設計いたしました。
海外部品調達なら株式会社いわいにお任せください
株式会社いわいは、部品加工の海外調達における文化的要因の重要性を深く理解し、それらの課題を解決するための実践的なソリューションを提供する専門企業です。ベトナムでの豊富な経験と実績に基づき、文化的な障壁を乗り越えて成功する海外調達を実現します。
検品合格率99%以上、品質トラブル発生率0.2%以下という優れた実績は、技術力だけでなく、現地の文化や商習慣への深い理解があってこそ実現できるものです。現在の外注先の廃業リスクや人手不足による製造継続の困難さにお悩みの購買担当者の皆様にとって、文化的なチャレンジをも乗り越えた信頼できる海外調達先の確保は、事業継続の重要な要素となります。こうした課題を根本的に解決するため、現地の文化を本質的に理解した上での調達先開拓と、長期的なパートナーシップの構築をサポートしています。
部品加工の海外調達に関してお困りの際は、ぜひ株式会社いわいにご相談ください。豊富な経験と実績に基づく実践的なソリューションで、皆様の調達戦略の成功を支援いたします。まずは、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。